2008/09/24

三渓園



三渓園は横浜市中区本牧(ほんもく)にある庭園.

三渓園は,横浜トリエンナーレ2008の会場の一つであり,その展示を見ることが今回訪れた本来の目的だった.他の会場は二日間見て回り,最後に三渓園を訪れた.この三渓園は他の会場から遠く離れ,桜木町からバスで25分以上かかる場所にあり,行くのには少し難儀だった.ただ,本来ならば入場料500円がかかるところを,トリエンナーレのチケットで入場することができたことが少しオトクだった.

正直に言って僕は現代アートに造詣が深いわけではないし,今回のトリエンナーレを見て,現代アートにはかなり懐疑的な感想を持っていたので,三渓園には「庭園を楽しむことができて,ついでに作品も見られればいいや」という心持ちで臨んだ.

トリエンナーレの展示はそこそこに拝見して(というかほぼ素通りして),三渓園の建物や景観をゆっくりと見て回った.建物の多くが鎌倉や京都からの移築で,建立が室町時代のものもあり,「古都」の趣を感じた.ただ単純に移築したという感じはしなくて,景観と建物が非常にうまく調和していた.

この庭園を公開したのは原三渓(1868-1939)という横浜の実業家.古美術の蒐集家だったようだが,ただの金持ちというわけでは全くなく,自身も書画に親しんだようで,展示室には彼の作品も公開されていた.さらに当時の画家を庇護して育成に努めるなど,パトロン的な存在だったようだ.関東大震災の際には横浜の復興のために私財を投じた徳の高い人でもあった.

トリエンナーレで最もリスペクトに値するアーティストは実は原三渓だったのかもしれないな,というのも皮肉な話だ.

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