2010/05/30

伊予国の旅 2010.5.3 - 2010.5.4

四国の旅.
しまなみ海道を自転車で渡る.本州尾道から出発し,瀬戸内海の6つの島(向島,因島,生口島,大三島,伯方島,大島)を渡り,四国今治に入る.




不思議だったのは,橋を渡る度に設置されている料金箱.二輪車の人は100円,歩行者の方は無料.みなさん律儀に払っていて,僕ももちろん払ったけど,監視している人は一人もいないので簡単に無賃通行できてしまう.おさいせんみたいなものなのだろう.日本人の民度を定量的に測る社会実験なのかもしれない.そんなわけないか.







今治に着いてすぐ輪交で松山市に向かう.夜の道後温泉を見物したかったからだ.JR予讃線で松山市内に入り,路面電車で道後温泉街に向かう.しかしこの日は大型連休ど真ん中で,午後九時を回っても温泉は長蛇の列.今夜はあきらめて「椿の湯」に入る.ここも歴史のある名湯らしく趣きがあった.

温泉の後,宿を探したがどこも満員だった.10時にはあきらめて道後公園に寝袋を広げて眠ってしまった.松山市民の方申し訳ない.

2010/02/22

帰函 2010.2.5 - 2010.2.7

2010年の冬,函館に帰ってきた.


帰ったと行っても,東京が嫌になって実家に帰ってきた,というわけではない(そもそも僕の実家は広島にある).「またいつか帰ってきてね」と言ってくれる人が函館にいる,ただそれだけのこと.


函館は空が広い.

僕が7年前,はじめて函館に訪れたときに不思議に思ったのは,空がとても広いということだった.なぜそのように見えるのかは分からない.分からないけれど絵になるので,今回撮った写真には「函館の空」がたくさん写っている.

僕は荒井由美の『ひこうき雲』を口ずさみながら,北海道の雪をふみふみしながら,函館の風景をたくさん撮った.














最後の一枚はパン.


パン屋といえば,いつも思いだすのが,小説家レイモンド・カーヴァーの『ささやかだけれど,役に立つこと』という短編だ.


世の中にはおかしな人がいるもので,気が滅入ったり人生に絶望したときに,あえてとんでもなく絶望的な物語を読んだり鑑賞したりする人がいて,残念なことに僕もその一人だ.僕にとってそのような絶望的な物語は,例えば映画では「ダンサー・イン・ザ・ダーク」だったり,「リリィ・シュシュのすべて」だったりして,小説ではこの『ささやかだけれど,役に立つこと』がエントリーされる.精神がタフだと思われる方はぜひご一読ください.

2009/09/05

夏の旅 2009.08.08 - 2009.08.09



朝,朝食をたっぷりと食べ,8時30分に宿を出発.いい宿だったな.いつかまた使わせてもらおう.

国道311号を田辺に向けてひたすら走る.4時間かかると算段していた道程が,予想外に下りが多く,白浜温泉に到着したのが12時前.


温泉に浸かるのはもちろんだが,一カ所訪れたい場所があった.南方熊楠記念館である.大学で粘菌に興味を持って調べていたとき,南方熊楠という大学者が日本にいたことを知り,彼に関して調べていくうちその人柄がとても気に入ったのだ.彼は海外生活が長かったが,日本にいた時期の大半を田辺で過ごした.世界的な学者が田辺のような片田舎にいることがおかしなことだけれど,そういう王道ではない,やくざな感じが何とも言えず好きなのだ.

記念館に行くまでの海辺の光景は圧巻だった.エメラルドグリーンの海原が眼前に広がっていた.現行のsRGBのモニターの色空間では表現できないだろうな,と半ば諦めながら写真を撮った.


記念館の敷地内はまるで植物園で,珍しい植物が植えられていた.記念館内には熊楠の書簡や写本,顕微鏡から粘菌の図画などが所狭しと並んでいた.

記念館を出たところに,昭和天皇が南方熊楠に送った有名な一句を掘った碑が置かれている.
「雨にけぶる 神島(みしま)を見て 紀伊の國の生みし 南方熊楠を思ふ」


記念館に水木しげる作の南方熊楠の伝記漫画「猫楠」が置いてあったので買ってきた.熊楠がゲロを吐くタイミングを自在に操るという設定が実話だというのは,この漫画を読んで始めて知った.あらゆる意味でかなわないな.


記念館を観て回った後,「崎の湯」に入った.崎の湯は温泉の目の前がすぐ海でワイルド.硫黄の匂いがきついうえにシャワーがないので,その日一日,自分の体から卵の匂いがしていた.

温泉から出て昼食をすませ,白浜駅から和歌山駅まで電車に乗る.和歌山駅からフェリー乗り場まで自転車で行き,そのままフェリーに乗って四国の徳島に向かう.昼間とは打って変わって雨が強く降っていた.徳島でビジネスホテルに入って一泊する.

ホテルに入ったときにはすでに11時を回っており,雨が降り続いていた.「もしかしたら明日は自転車に乗れないかもしれないな」と雨の中,ビールを買いにコンビニに行きすがら考えていた.「今まで天気がよすぎたんだろう」そう考えることにした.

夏の旅 2009.08.07 - 2009.08.08


国道311号を抜けて,田辺に向かう.

紀伊山地を越えるのだから,険しい道が多いと予想していたが,道は広く整備されていて走りやすい.しかし,和歌山県と奈良県の県境で道幅が極端に狭くなる.県境を越えるとすぐに本宮に入る.本宮では本宮大社は詣でなかったが,渡瀬温泉に入った.湯は澄んでいて,湯華が浴槽にたっぷりこびりついていた.

温泉から出て,うどんとおにぎりの昼食を摂る.今日の宿はまだ決めていなかったので,ツーリングマップルに載っていた「霧の郷たかはら」に電話をかけ,宿をとった.

国道311号の周辺には熊野古道の王子が点在している.少し寄り道して継桜王子の野中の清水を飲みに山を登る.古来から人々を惹き付け,参詣に駆り立てる熊野という土地と,有象無象に神を視る日本人の不思議さについて少しばかり思いを巡らす.

寄り道をしたせいですっかり日が暮れた.宿は町の中にあるものとばかり思っていたが,国道から離れた高台にあり,日が落ちて行くのを横目で見ながら自転車を押して山を登った(宿のサイトを見ると標高300m).

延々と登った甲斐はあった.息を呑むような光景だった.


宿は新しくきれいで,食事は素朴でおいしかった.食材は主に地産の山菜や川魚で,味付けシンプルで,メインに熊野牛のステーキが出てきた.泊まっている人は若い人が多かった.熊野詣をしているわけではあるまいし,何の目的でこんな辺鄙な場所に泊まりに来るのだろうと不思議に思った.人のことは言えないけれど.

2009/08/18

夏の旅 2009.08.06 - 2009.08.07



伊勢湾フェリーの三重県鳥羽から,伊勢を越えて熊野への旅.

出発と同時に雨.小雨と判断して走り始めたが途中で大雨.五カ所浦という町で大休止.昼食を食べたレストランで,伊勢付近は大雨警報が発令されていたことを聞かされた.


雨が止んできたところで,JRの通っている紀伊長島まで国道260号を自走する.起伏のある道路で,駅についた頃にはへばりきっていた.紀伊長島で夕飯をすませ,紀伊長島から今夜の宿の最寄り駅の神志山まで電車に乗る.宿に着いた頃には10時を過ぎていた.早々に風呂に入って就寝.

朝,白飯を2杯平らげて7時に熊野を出発する.太ももには昨日の疲れが残っていて鈍い痛みがある.これで紀伊の山々を越えられるのか,少し不安になった.

出発の前に少し寄り道した.海を見た.


その日は快晴だった.前日の雨で少し湿気は多いけれど,走るのに支障はなかった.真夏の青空と緑とのコントラストが眩しくて清々しい.


夏の旅 2009.08.05 - 2009.08.06


輪行袋を担いで電車を乗り継ぎ,東京から実家の広島まで帰る旅.
8月5日夕方,仕事を早々にすませて渋谷から湘南新宿ラインに乗り込む.東海道本線に乗り換えて豊橋駅に向かう.

輪行袋を持って都心の電車に乗るのは,正直なところ気が引ける.乗り合わせた乗客の皆さん,お邪魔ですいませんでした.

豊橋には高校の同級生が住んでいた.(彼が豊橋に住んでいることは,向かう途中の電車の中で偶然知った.)彼の家で酒を飲み交わし,一泊させてもらった.
次の日の朝,フェリー乗り場のある伊良湖岬まで,彼に車で送ってもらった.朝から仕事があるにもかかわらず,すまなかったなと思う.

ありがとう友よ.

フェリーに乗り込んで,客室の椅子に座って漫然とテレビを眺めていた.テレビには広島の平和記念式典が映し出されていた.
フェリーの中で黙祷するなんて人生の中でそうざらにあるわけではないだろう.そしてその記念すべき日は,僕の誕生日でもあるのだ.

2009/07/12

西澄寺

西澄寺(さいちょうじ).
三軒茶屋駅からチャリで5分.

買い物を目的にフラフラしてたら,いつのまにやらお寺が目の前にあった.何の気なしにフラフラと境内に入り,オモムロに鞄から取り出したるはR-D1.


あまりに表情豊かなので撮ってしまった.釣られた鯛までニンマリだ.

それにしてもこの人たち,なんでこんなに幸せそうなんだろう.
見習いたいものだ.