2009/03/31

テオ・ヤンセン


テオ・ヤンセン展

展示されているのは,プラスチックのパイプによって構成された生命.

「もし,現存している生命のようなエネルギー代謝の機構を持たず,風をエネルギーとする生命が現れたとしたら?」という仮定から,彼の着想はスタートしている.

展示されている構成物は,その多くは過酷な環境(強風や豪雨)に耐えきれず,命を失ったものであり,実際に動くことが可能なのは二体のみ.

そのうちの一体は,自分が移動するためのエネルギーを蓄えることができる.
風を大きな羽で受け止め,その風力により自転車のタイヤに空気を入れる要領でポンプで空気を圧縮させて,ペットボトルに空気を詰め込む.そして蓄えた圧力でタービンを回して何十本もの足を動かす.


ここの展示が何よりも面白いのは,彼の信条,生命観から顕われる独特の雰囲気だ.
彼は一度作り上げた構成物は,環境に晒されて破壊してしまうと修理はせず,「生命の死」として受け入れる.展示されたほとんどの生命は「死んでいる」し,死んでしまった構成物は「化石」として展示されている.

だから展示されている場所は,他の美術展のホワイトボックスのような無味乾燥な空間ではなく,化石の発掘現場のような独特の雰囲気をたたえている.


展示場所は日比谷パティオ特別会場.4月12日まで.

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